「オイル・プール シリーズ / 布袋とロープの関係」
1946年神奈川県横須賀市生まれ。日本大学美術学部美術学科卒業。
60年代後半から美術家としての活動を始め、1977年、ドイツのカッセルで4年ごとに開催される国際的な美術展「ドクメンタ6」に初めて日本人作家として選ばれ、廃油を満たした巨大な鉄のプールを発表し欧米中心の美術界に衝撃を与える。続いてパリ市立近代美術館でも「第10回パリ青年ビエンナーレ」に参加し、1978年にはデュッセルドルフのGalerie Alfred Schmelaで海外での初個展を成し遂げる。
2001年、ミュンヘンのレンバッハハウスにおける個展「NORIYUKI HARAGUCHI」、2007年ハンブルグのクンストハーレにおけるマレーヴィッチへのオマージュ展“Das Schwarze Quadrat. Hommage en Malewitsch” など、大規模な個展で海外での評価が高い。
最近では、2009年に横浜のBankART1929のStudio NYKで国内では初となる新作を含む大規模な回顧展「Noriyuki Haraguchi:Society and Matter(原口典之 社会と物質)」を開催して、その存在感の大きさを改めて国内に知らしめた。
2012年/鉄、オイル
鉄製の水盤に廃油というシンプルな二つの物質よって構成された作品「オイル・プール」は、1977年のドイツの国際的な美術展「ドクメンタ6」で美術界に衝撃を与えた。
漆黒の鏡面に反転した像を映し出し、床下にもうひとつの世界が広がるような錯覚に陥る。ART BASE百島の為に制作された本作品は、サイトスペシフィックに常設展示された状態としては世界に二つしか現存しない。
2017年/キャンバス生地、巨大船係留ロープ
布袋という器に詰められているのは、横須賀から輸送された重さ2トンあまりの巨大船係留ロープである。
47年間空き家となっていた「乙1731-GOEMON HOUSE」の土蔵を占拠する本作は、物質の「移動」と「存在」を表現している。