企画展 十字路-CROSSROAD- [開催概要]

会場:


【尾道】

・西御所県営上屋3号(尾道駅徒歩8分)

10:00〜17:00 会期中無休


【百島】

・「百島東映」旧映画館(福田港徒歩13分)

・ART BASE 百島

10:00〜17:00 火・水曜休館

(但し9月23日を除く)

アートベース百島は、9月13日(土)から10月26日(日)まで、本土尾道と離島百島の2つの会場で「十字路—CROSSROAD」展を開催します。広島への原子爆弾投下から来年で70年、国家の理想を掲げた憲法の改憲が議論され、福島第一原子力発電所事故からすでに3年、美しい国土を汚染してしまった教訓は生かされることなく、原子力に頼ったエネルギー政策が続いている現実があります。歴史は常に十字路と対峙します。本展は、空爆からもバブル経済からも幸い無傷であった歴史と文化の街尾道と、日本の原風景をいまに残す離島を結び、私達の現在を問うものです。尾道では、尾道水道沿いの上屋3号館の大空間に、柳幸典と原口典之が大型の新作を発表します。ポートターミナルから海を渡った百島では、長年廃墟となっていた旧映画館を再生し、柳の大作を犬島から移設します。アートベース百島のギャラリーには石内都の《ひろしま》シリーズ、明治時代の鋼の製錬所廃墟を芸術の力で再生した柳の《犬島プロジェクト》の構想のドキュメントを展示、そして、ビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験=クロスロード作戦の実写フィルムによるブルース・コナーの映像作品を上映します。尾道と百島を巡る本展が、歴史の教訓を改めて見つめ直し、私たちの未来に対する責任を考える機会となることを期待しています。

アーティスト/Artist


「百島東映」旧映画館/ART BASE 百島

  • 石内都
  • 原口典之
  • 柳幸典
  • ブルース・コナー

西御所県営上屋3号

  • 原口典之
  • 柳幸典

《ひろしま #69》, Blouse 2007,
Donor:Abe, H.
作品写真:©Ishiuchi Miyako

石内都 ISHIUCHI Miyako

群馬県桐生市生まれ。
初期三部作で街の匂い、気配、空気をとらえ、同じ年生まれの女性の手と足の作品「1・9・4・7」以降、身体にのこる傷跡シリーズを展開。1979年、第4回木村伊兵衛写真賞受賞。2005年「Mother’s 2000-2005 未来の刻印」でヴェネチア・ビエンナーレ日本代表。2008年広島市現代美術館で個展「ひろしま」を開催、写真集を出版。2009年第50回毎日芸術賞受賞。2012年丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて個展「絹の夢」を開催。2013 年ロンドン・テートモダンにて収蔵展及びマイケル・ホッペンギャラリー個展、「Frida by Ishiuchi」をメキシコ・RMより出版。2014年ハッセルブラッド国際写真賞受賞。求龍堂より写真集「From ひろしま」出版。

《物性 Ⅰ》, 2012

PERMANENT INSTALLATION

原口典之 HARAGUCHI Noriyuki

1946年神奈川県横須賀市生まれ。日本大学美術学部美術学科卒業。
1977年、ドイツのカッセルで4年ごとに開催される国際的な美術展、「ドクメンタ6」に初めて日本人作家として選ばれ、廃油を満たした巨大な鉄のプールを発表し欧米中心の美術界に衝撃を与える。1978年にはデュッセルドルフのGalerie Alfred Schmelaで海外での初個展を成し遂げる。2007年ハンブルグのクンストハーレにおけるマレーヴィッチへのオマージュ展など、大規模な個展で海外での評価が高い。2012年、ニューヨーク近代美術館で開催された「TOKYO1995-70:A New Avant-Garde」展に参加、ART BASE 百島で制作された「オイル・プール」の新作は、サイトスペシフィックに展示された状態としては世界に二つしか現存しない。

《ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム》,

1990

柳幸典 YANAGI Yukinori

1959年福岡生まれ。1991年にイエール大学大学院修了。
1993年、第45回ヴェネチア・ビエンナーレに選ばれ、アペルト部門で日本人で始めて受賞する。以後ニューヨークにスタジオを構え、多くの国際展に招待される。1992年の直島コンテンポラリー・アート・ミュージアム(当時)の開館に伴い個展に招待された事が始まりで瀬戸内海の島の魅力に取り憑かれ、1995年に銅の精錬所廃墟がある犬島に出会い「犬島プロジェクト」を着想する。2008年、明治の近代化産業遺産と昭和の三島由紀夫のメッセージに自然エネルギーの技術を融合させた美術館、「犬島精錬所美術館」を完成させる。ニューヨーク近代美術館やイギリスのテート・モダンなど多くの美術館に作品が収蔵されている。

《CROSSROADS》, 1974

ブルース・コナー Bruce Conner width=

1933年〜2008年。アメリカ・カンザス州生まれ。
既製品や自然物、廃品などを用いた60年代のアッサンブラージュやコラージュ作品で知られる。既存の映像フィルムをつなぎ合わせ、新しい映像作品を作るという技法は、今日MTVなどで私たちが目にする画像の元となったと言われている。本展では、1946年から1958年にかけてアメリカがビキニ環礁で行った23回の核実験のうちの最初の2つの核実験「クロスロード作戦」から、1946年7月25日の世界初の水面下での核実験「ベーカー・デイ」の記録映像を題材としている。ニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、ポンピドーセンターなど、世界屈指のメジャー美術館が作品をコレクションしている。